ハヤカワ文庫SF・浅倉久志 訳・2003年9月刊行

〔ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞受賞〕地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれて、驚くべき運命にまきこまれていく……ネビュラ賞を受賞した感動の表題作はじめ、ネビュラ賞受賞のデビュー作「バビロンの塔」など、八篇収録する傑作集(以上、Hayakawa Online HPより)

SFの愉しみ

「フェルマーの最小時間の原理」というものがある。

簡単に説明すると、光線は常に最速のルートをたどる、というもの。

たとえば、光線のたどるルートに水中があったとして、水は空気とは異なった屈折率を有するから光線は水面に達したときにその方向を変えるし(ルートの長さが変わる)、また光は水中では空気よりゆっくりと進む(光速は媒質によって異なる)などの諸要素が介在するわけだが、ざっくり言って、それでも光速は常に可能な最速のルートをたどる。

この原理には不思議なところがある。

そもそも「光速の最速のルート」という概念は、そのルートの目的地が特定されていることが必要になる。

目的地が違えば、最速のルートが変わってしまうからだ。

また、あたえられたルートの所要時間を導き出すには、あらかじめそのルートの途中に水なり鉱物なり、何があるかどこにあるかといった情報が必要になる。

要するに、光線は動き始める方向を選ぶ前に、最終的に到達する地点を知っていなくてはならない。

「なんだ、神の仕業か」と考えてしまいそうだが、これはそもそも地球の人間というものが、時間を主観的かつ絶対的な一方通行の直線としか認識できないから奇異に感じるだけなのかもしれない。

以上、『あなたの人生の物語』(テッド・チャン)で書かれていたことのパクリでした。

面白かったです。が、やはり読んでて頭が疲れた…。