20世紀の建築や工業デザインに大きな影響を与えたジャン・プルーヴェ(1901–1984)を紹介する大規模な展覧会です。

プルーヴェはアール・ヌーヴォー全盛期のフランスで、ナンシー派の画家の父と音楽家の母に育てられ、金属工芸家としてキャリアをスタートさせました。1930年代にはスチール等の新たな素材を用いた実験的かつ先進的な仕事へと転換し、家具から建築へと創造の領域を拡げていきます。また、第二次世界大戦中はレジスタンス運動に積極的に参加し、ナンシー市長も務めたプルーヴェは、フランスの戦後復興計画の一環としてプレファブ住宅を複数考案するなど、革新的な仕事を次々に生み出していきます。

本展を通じて、20世紀という時代に、デザインと生産をトータルに捉え、新たな技術や素材を追い求めたプルーヴェの構築的な想像力に触れることができるでしょう。(以上、公式HPより抜粋)

予想の10倍くらい面白かった

東京都現代美術館のジャン・プルーヴェ展
東京都現代美術館のジャン・プルーヴェ展

ソフトにしろ、ハードにしろ、ものづくりをする上で、建築家や工業デザイナーの言うことはどれも金言中の金言だと思った。

芸術性や作家性といった「押しつけがましさ」が全くない。

「土地に痕跡を残さない建築をつくりたい」「事務室と作業場の非分離」といった発言からも、自然であること、自明であることに対するこだわりが感じられた。

かっこいいとはこういうことだ

東京都現代美術館のジャン・プルーヴェ展
東京都現代美術館のジャン・プルーヴェ展

仕事の中で特に重要としたものが椅子のデザインであり、その業績のひとつに「プレファブ住宅」の考案があるというのが、もう、なんとも渋い……かっこいい。

小説や映画のプロットづくりから、事務仕事のちょっとした段取りまで、ものをつくること、ものを構築することに対して、これほど大きな示唆を与えてくれる展示は初めてだった。

ここまで勉強になり、いいものを見せてくれるとは……うれしい誤算でした。

東京都現代美術館のジャン・プルーヴェ展