本の雑誌社・2010年7月刊行

冴えない時代を、それでも愉しむ 中央線「その日暮らし」エッセイ

あわただしい世間の風に揉まれ一喜一憂、それでもマイペースで生きていきたい。東京・高円寺に住む著者が語る、街暮らしのあれこれと読書の日々。昨日は『まんが道』と尾崎一雄の私小説に勇気づけられ、八〇年代のCDを聴き返す。今日は自分で髪を切り、圧力鍋でカレーを作る…。「おそらく今日もまたとくに予定のない日にありがちなことをするだろう。つまり部屋を掃除して、洗濯して、食料品を買い物して、古本屋をまわって、喫茶店で本を読んで、酒を飲んで、家に帰ることになるだろう」(「自然でもなく、必要でもない欲望」より)。そんな日々から生まれたつぶやきが、なぜこんなにも心に響くのだろう。

街で生きるすべての若者たちに送る、冴えない時代を楽しんで生きるヒントが詰まった、フレッシュなエッセイ集です。(以上、WEB本の雑誌より)

穏やかな幸福

著者はフリーライター。

中央線沿線に住み、好きな本やレコードを買い、観たい芝居と映画を観て、酒を飲んで、たまに友人が遊びにきたら、ごちそうする。そのくらいじゃないかなあ、望みなんて。

それから十年、まだ高円寺にいる。

昨年の秋、四十歳になった。

車の免許、クレジットカード、携帯電話をもっていない。

年金も払っていない。

という箇所を読むと、まあ、これでも駄目じゃないよなあ、とも感じてしまうのだ。

結論からいうと、この社長さんとこのフリーライターさんの融合が理想なわけだ。

何か、すごく恥ずかしいことを書いている気がするが……。

でも、不可能ではないよな。