小説家 中上健次

作者は92年に急逝した純文学作家で、紀州を舞台に血脈と
因縁の物語を描きつづけた。


兄弟・姉妹観

『岬』は、主人公の青年が異母妹と交わる場面で終わる。


もし自分に、腹違いの兄弟がいたらどう接するだろうか。


自分は、いや、若い世代の多くの人々は、兄弟や姉妹という
繋がりに、家族であるということ以上の想いは抱かない
のではないか。


サーガ

しかし、この作家が創出した世界では「血」という命題に
全ての登場人物が翻弄される。


「宿命」という言葉の意味を深く突きつける作家である。

中上健次の文体

――部屋で、寝て、起きる。いまでもそうだった。女のことさえ、考えたくなかった。やっかいな物一切を、そぎ落してしまいたかった。


――彼は、土方仕事が好きだった。他の仕事や商売よりも、貴いと思っていた。朝、日と共に働きはじめ、夕、日と共に働き止める。


いい文章だと思う。

投稿者

管理人ひのき

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