理知的な幻想

大学時代の友人達が、かつての学友の死の謎を、各々の自説の展開という形で解き明かそうとする。

ミステリともファンタジーともホラーともいえる作品だ。

現代小説のたくらみ

ミソなのが、登場人物の発言の進行によって、物語の形式や解釈が枝分かれしているという点だ。

ダサい言い方をすれば、物語がエクリチュールを内包しているのではなく、エクリチュールが物語を内包している。

メタ・ミステリとも呼べるだろうか。

ノヴァーリスとの組合せもうまい。

むしろ『ドグラ・マグラ』に近いが

作者は中井英夫の『虚無への供物』のファンらしいので、それへのオマージュとしても読める。

小説というものに対して非常に意識的な作家である。

投稿者

管理人ひのき

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)