岩波文庫・藤沢令夫 訳・1967年9月刊行
オイディプスが先王殺害犯人の探索を烈しい呪いの言葉とともに命ずる発端から恐るべき真相発見の破局へとすべてを集中させてゆく緊密な劇的構成.発端の自信に満ちた誇り高い王オイディプスと運命の逆転に打ちひしがれた弱い人間オイディプスとの鮮やかな対比.数多いギリシア悲劇のなかでも,古来傑作の誉れ高い作品である.(以上、岩波書店HPより)
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物語の始祖にして金字塔
「仰ぎまつるアポローンよ、彼の眼の輝けるごとく、彼をして救いの幸に照り映えて来たらしめ給え!」
人生の彼岸と此岸、悲願と弛緩が同時に書き表されている。
恐ろしいほどに数理的な構成についても、ただただ驚かされる。
まるで、質量保存の法則をうたっているような。
すべては「等価交換」なのだと、栄光と絶望をもって、均衡が保たれているのだと、訴えてくるようだ。
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紀元前5世紀にして、普遍的な、人の生き死にの末端まで開帳しているような内容を持った、慄然するほどの完成度を誇る戯曲である。
そのプロットやエキスは現代でも数多く活用されている
私見だが、『百年の孤独』のプロットは『オイディプス王』を参考にしている部分がある気がする。
あとは、『春琴抄』もやはりそうなのかな。
私が一番好きな漫画の主人公も、オイディプスと重なるところがある。
「オレはもう 何も見たくねェんだ」と言うのだ。
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しかし、まあ、温故知新といったら何だが、こういう悲劇の均衡・悲劇の輪廻を打ち破る世界観というものも、やはり創作をする上で提起していかないといけないんだろうな。
「みずから手を下すほどの者は、言葉など恐れはすまい。」

