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内容のテイストは割とどうでもよく、とにかく圧巻の「叙述」
SM小説にしてツンデレ小説の元祖?である。
当初は春琴のツンデレっぷりに萌えてみようとか思った程度だったが、すぐにそんな気は失せた。
まちがいなく、日本文学の一頂点をなす小説だ。
『春琴抄』の構造
文量的には中編どころか短編といっていいほどの長さだが、この作品は改行及び句読点が極端に少ない。
「……などと云う高価なのが珍しくない天鼓の飼桶には支那から舶載したという逸品が嵌まっていた骨は紫壇で……」
という具合で、文法的にも異質な、実験的ともいえる文体になっていて、一見して敬遠したくなるのも無理なしといえる。
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小説の「蠱惑」にとり憑かれる
しかし、一度読み出したらもう止めることは叶わなくなる。
読みやすいかといわれれば、こんなに読みやすい小説もないものだ。
下僕の佐助が己が目を針で突き刺す描写には思わず顔をしかめたものだし、とにかく魔術的な小説である。
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正直、古典といったってピンキリだと私は思うし、資料的価値しかないものも腐るほどあるが、潤ちゃんはすごい。
「古き良き日本の耽美」といったくくり方をしてはいけない。