現代の表現の一側面を切り取り、問いかけや議論の始まりを引き出すグループ展、MOTアニュアル。18回目を迎える本展では、大久保あり、工藤春香、高川和也、良知暁の4名のアーティストを迎え、言葉や物語を起点に、時代や社会から忘れられた存在にどのように輪郭を与えることができるのか、私たちの生活を取り巻く複雑に制度化された環境をどのように解像度をあげて捉えることができるのかを共に考えます。
高川和也は、ラッパーのFUNIをはじめとする複数人の協力者のもと、自身がラップに挑戦する新作映像を制作中です。人間が感情を言葉で表した時、何を得ているのか、あるいは失っているのか。アーティスト自身の体験を記録したセルフドキュメンタリーとなります。(以上、公式HPより)
文芸としてのラップ、言語芸術としてのラップ

ということで、4人のアーティストの展覧会の中で、高川和也氏の映像作品《そのリズムに乗せて》に最も胸を打たれた。
52分の映像作品だったが、全く時間を感じさせなかった。
これでたっぷり時間を使わせてもらったおかげで、木場公園を散歩したり、門前仲町方面に行って御朱印を頂くことはできなかった(笑)。
言葉として、ラップを創出することで、自浄になるし、良かれ悪しかれ他者とのコミュニケーションになること、その強度を教えられた。

韻文は、言語芸術のひとつの原点
ラップは、韻文であると言っていいと思う。
そして、韻文は、ある種自動的に、言語芸術としてパッケージされる性質を持っている。
現代詩の領域でも、ラップ文化は積極的に取り入れられている。

友情について
高川和也氏は、川崎のラッパーであるFUNI氏にレクチャーを受けながら、自分なりの思いをラップとして表現することにトライする訳だが、その過程で高川氏とFUNI氏で確かな「友情」が生まれている。
そこに一番感動したかな。
文芸・言語芸術から友情が生まれるということに、今になってすごい魅力を感じました。
